LINEで送る今年、フリーのライター3年目に突入したヒトミ☆クバーナです。
以前、このブログを書いて、たくさんの人に読んでいただきました。↓
おかげで、今ではWebライティングにも慣れ、コンスタントにSEO記事やインタビュー取材などのお仕事をいただくようになりました。
しかし、フリーランスのWebライターについてまわるのが、文章を誰にもチェックしてもらえない問題。
もちろん、しっかりしたメディアなら編集や校正は入ります。でもWebの世界のそれは、最低限なことが多く、ぶっちゃけ自分の文章力は自分で磨かないと、誰も面倒見てくれません。
ライター未経験でいきなりフリーランスになった私は、2年間、多くの記事を書きながらも
「この書き方で本当に良いのだろうか」
「自分の文章を読んで何か変な感じがするが、それが何かわからない…」
と、モヤモヤすることが何度もありました。今もあります。
特に、企業インタビューなど「大人が読む文章」を書くときに、それを痛感するんです。
私には、文章の基礎がないんじゃないかって。
今まで通り、Webで軽い読み物を書く分には困らない。
でも、5年後、40代になった私は、果たして自分の書く「軽い読み物」を面白いと思えるだろうか。
どこかで「大人向けの文章」が書けるようにならないと、そのうち限界を感じる日が来るのではないか。
その迷いは、「これからもライターを続けていこう」と、覚悟を決めかけている証拠かもしれません。
今回は、Webライター歴2年の私が、そういった迷いの中で手に取り、実際に仕事に役立てている本を4冊紹介します。
１．早く・正確に書く方法を丁寧に教えてくれる本
・わかりやすい文章の書き方
など。特に、「スピーディに書くための構成方法」に、一番ページが割かれています。
そこで紹介されている、記事の基本的な構成をざっくり4パターンに分け、いずれかに当てはめて書くという方法は、毎日締め切りがある新聞記者ならではのテクニック。
私は毎回、真っ白な状態から「構成どうしよう…」と悩んでいましたが、この章をパラパラ読み返すことで、書けるようになりました。巻末には、便利な「推敲チェックリスト」や「書き出し表現集」もついています。
記事の構成が決まらず書き出すのが遅い人や、なんとなく「自分の記事にメリハリがなく読みづらい」と感じている人に、おすすめです。
２．実際の添削例を見て「違和感」を言語化できる本
「伝わる文章」が書ける作文の技術 名文記者が教える65のコツ
自分や他人の文章を読んで、「何か違和感はあるけど、具体的にどこを直せばいいかわからない」と思ったことはないでしょうか。
この本では、元・朝日新聞記者の著者が、ネット上で開いた文章教室に集まってきた文章を、紙面上でどんどん添削していきます。
添削の基準は、「わかりやすく、伝わる文章」にすること。
例えば、「一文を短くして読みやすくする」ために、具体的に文のどこを切ってどうつなげたらいいか、実際の文章を書き換えながら詳しく解説しています。
前半の基本編は、「数字は引き算で、入れすぎない」「敬語よりも敬意を込める」といった、少しの工夫で読みやすくなる例を豊富に掲載。
また、後半の応用編では、完成しているコラムの構成から手を入れ、文章をどういう設計図で書けばより伝わりやすいかを、教えてくれます。
「伝わる文章」というのは、誤解を生まない文章だと、私は思います。
記事の内容によっては、センシティブだったり、正確さが求められることがあります。意図した内容をきちんと文章に落とし込む技術を持っておくことは、自分や取材対象を守ることにもつながります。
例文が多くて一気に読むのは疲れるかもしれませんが、どこかで「あのとき感じた違和感はこれか」と、スッキリする例に出会えると思います。
この本は、書いた記事に編集も校正もほとんど入らず、不安を感じている人におすすめです。
PCからのみですが、こちらのAmazonページ「なか見！検索」から、「はじめに」「基本編」の途中までを読むことができます。↓
「伝わる文章」が書ける作文の技術 名文記者が教える65のコツ
３．取材記事を書く「覚悟」を後押ししてくれる本
ネットで集めた情報だけではなく、しっかり取材した記事が書きたい。
いつか憧れの人にインタビューして、新たな魅力を引き出すような文章を書いてみたい。
取材ライターから一歩進んだ「ノンフィクションライター」になりたいが、何から手をつけ、どうやって進めていいかわからない人に、手取り足取り教えてくれるのが、この本です。著者は、約40年、国内外のルポルタージュを書き続けてきたノンフィクション作家です。
この本では、著者の経験や、多くの書籍から得た「ノンフィクションの書き方」を、細かく解説しています。細かくというのは、テーマ設定、リサーチ、取材アポ、インタビュー準備、インタビューのコツ、記事の書き方に至るまで、全部です。
資料のまとめ方がすべてアナログであるなど、一部現代にはまらない部分はありますが、取材ライターを目指すなら読んで損はありません。
ノンフィクションの書き方なので、Webでサクっと読める、軽い取材記事より、かなり手間も時間もかかります。読んでも、すぐに全ての手法を取り入れることは難しいでしょう。
しかし、いつか著名人インタビューがしたい、ニュースサイトに載るようなルポが書きたい、読み応えのある骨太な取材記事が書いてみたい。
つまり、「大人が読んで面白い取材記事が書きたい」人は、一度この本を読んで、目指す先への覚悟を決めるのもいいと思います。
中で紹介されている辺見庸や沢木耕太郎の「良い書き出しの例」を見ているだけでも、かなり勉強になります。個人的には、後半に引用されている著者自身のルポルタージュが素晴らしく、何度も読み返しました。
PCからのみですが、こちらのAmazonページ「なか見！検索」から、「プロローグ」「第一章 テーマを決める」「あとがき」等を読むことができます。
４．伝説の新聞記者の仕事に触れられる本
1と2では、どちらも元・新聞記者が書いた本を紹介しました。
そこからさらに「良い記事とはどんなものなのか」知りたくなったら、こちらがおすすめです。
1951年～1987年まで朝日新聞に在籍していた、この疋田記者を、私は知りませんでした。2で紹介した「伝わる文章」が書ける作文の技術 の中に、この記者に関するコラムがたびたび出てきて、それがとても面白かったので興味を持ちました。
後輩の記者からその仕事を絶賛され、語り継がれるほどの人が、どんな記事を書いたのか。生涯、職人として著書を持たなかった疋田記者の代表的な記事と、記者向けに書かれた取材の方法、記者研修で講義をした際の書き起こしなどが1冊にまとめられています。
「無味無臭、真水のような文章」を目指している、と語っていた疋田記者。しかし、その記事からは、どれも「伝えよう」という熱い思いが感じられます。
文章にクセがなくても、過剰に筆者の思いを込めなくても、いやだからこそ、取材対象から見えるもの、感じるものが素直に浮かび上がってくるのだと思いました。
この本は、1950年代の記事から始まります。その時代の文章を読みなれていない人は、まずは途中の短いコラムから目を通すと、入りやすいかもしれません。
新聞記事は「無味乾燥だ」とか「大本営発表と変わらない」と思っている人に、一度おすすめしたい本です。
■文章本は紙とKindle、どちらを買うべき？
今回紹介した本のうち、2と3はKindle版が出ていて、便利です。
でも、家で執筆していて詰まったときに、ふと手にとってパラパラめくるには、紙の本が便利なんですよねえ…。
反対に、電車の中でアイデアを練っているとき、スマホのKindleアプリでさっと読み返せる便利さも、捨てがたい。
ただ、仕事で頭がぐらぐらしている場面で、私がとっさに手を伸ばすのは、物理的に目に入る紙の本です。そう考えると、2の「伝わる文章」が書ける作文の技術は、短い例文がいくつも載っているので、パラパラめくる方が探しやすいな～と、紙の本の買い足しを検討中です。
結局は、自分にとってどちらが見やすいか、なんですけど。すでに家の本棚がいっぱいなので、悩ましい問題です。
こんな悩みも、数十年後、すべてが電子化された未来では無縁のものになるのでしょうか…。
■独学以外で文章力をアップさせる方法
独学以外、となると、誰かに文章を見てもらうのが一番の近道です。
以前、こちらのブログ（Webライターの私がクラウドソーシングを卒業した方法）にも書きましたが、私は駆け出しのころ、しっかり編集してもらえるWeb制作会社の外注ライターになりました。
あの時、複数の編集者からしっかり赤入れしてもらった経験は、今もずっと役に立っています。
また、今年から大阪でスタートする「プロライター道場」にも参加することにしました。こちらは、Web・紙に関係なく、企業取材など「大人が読む文章」を書くためのライター講座です。（第一期はすでに満員とのこと）
ただ受け身で受講するのではなく、最終的に取材記事を作成します。
ライター向けの講座やセミナーは数多くありますが、フリーランスだからこそ、「書いた文章を誰かが見てくれる」タイプのものをおすすめします。話を聞いてわかった気になっても、実践できるかどうかは、また別の話ですからね。
しかし、ふだんは表に出てこない、プロライターの話を聞く機会も貴重です。私は、興味があれば、自分とはジャンルのまったく違う人の話も聞きに行くようにしています。
■関西のおすすめライター会
…関西を代表する取材ライター、吉村智樹さんが、毎月第四水曜日に大阪で開催しています。毎回、バラエティ豊かなライターを招いて、なんと入場料1,000円（ドリンク別）で話を聞くことができます。
吉村さんのインタビュー技術も見られるし、一石二鳥。手前味噌ですが、2019年5月22日は、私ことヒトミ☆クバーナがゲストで出演します。誰も来なかったら寂しいので、お近くの方、ぜひ…。最新情報は、吉村さんのTwitterで確認できます。
…フリーライター江角悠子さんが、京都で毎月開催しています。関西で活躍するライターをゲストに呼び、少人数で話を聞いたり、質問したりできるのが魅力。
参加費1,500円（ドリンク別）で、毎回募集と同時にすぐ埋まってしまう人気イベントです。最新情報は、江角さんのTwitterでチェックしてください。
■スキルアップすれば、仕事はさらに面白くなる
今の仕事に不満はないけれど、最初の頃のようにワクワクを感じない。ルーティーンでの仕事に飽きている…。
せっかくここまで積み上げてきたのに、そしてせっかくフリーランスなのに、つまらない仕事ばかりでは何だかもったいない。私は、今までいろんな場所に行ったり、本を読んだりしましたが、それらが無駄になったことはありません。
「勉強している」という事実だけでも、新しい仕事にチャレンジする理由になってくれるからです。
チャンスは、いつ来るかわかりません。その時、「いや、まだ準備不足だから…」と尻込みしないために、これからもインプットを続けていきます。
挑戦し続けることが、この仕事を続ける一番いい方法かなと、今は思っています。