どうも、最近ブログや記事を「おもしろい、おもしろい」と言ってもらえて調子に乗っているヒトミです。
私は大阪人なのでつい、おもしろさを求めてしまうんですが、今インターネットには「おもしろ系」の記事があふれてますよね。
自分でおもしろ系の記事を書きつつも、実はこんな疑問もありました。
おもしろ系の記事って、読んだそのときは「わはは」って楽しめるけど、記憶に残るの?
テンション高い記事ばかりだと、読んでる人は疲れないのかな?
そんな日頃の疑問が、塩谷舞(しおたに・まい)さんのセミナー(in デジタルハリウッド大阪校)に行ったら解消されました!
おもしろ系じゃない記事で、数万PVのヒットを飛ばし続ける”しおたん”こと塩谷さん。
90分がっつりお話を聞いて感じたのは、「インターネットの世界をよくするために、第一線で戦っている人だ」ということ。
とても有益だったセミナーの内容を、今から紹介します!
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世はWebライター戦国時代
Webライターという職業自体が、今は「めちゃくちゃレッドオーシャン(競争相手が多い)」と語る、塩谷さん。
クラウドソーシングサービスの普及や、入りやすいWebメディアが増えたことで、誰でもすぐライターを名乗れるようになりました。
そんな中、ライターの置かれている現状はこんな感じです。
✔似たスキルを持った人が何百人、何千人といる
✔なかなか「専門職」としてリスペクトされない
✔オウンドメディアからの仕事依頼は増えているが、未経験同士で始めてしまうため、スキルが伸びない
✔ライバルは同業者ではなく、何かしらの専門家
(セミナースライドより引用)
ライバルは、「似たスキルを持っているWebライター」よりも、何かしらの専門家でSNS拡散力もある、インフルエンサー。
どんなにいい記事を書いても、拡散力がある専門家が放つ一言のほうが、またたく間にシェアされる時代です。
では、ライターはどうやって、現代のWeb戦国時代を生き抜いていけばいいのでしょうか。
読まれない記事は、無人島でお祭りをしてるようなもの
塩谷さんは、「コンテンツの質は高いのに読まれなくって……」という嘆きを、よく聞くそうです。
私もライターを始めた当初、「渾身の記事を書いたのに、どうやら誰にも読まれていないようだ……虚しい……」と思うことが、よくありました。
今思えば、まさにこんな状態。
「無人島でお祭りをやっているだけにすぎない。」
……つらっ。
でも、そうなんですよね。
記事を書くだけ書いて、納品して、そのあとSNS拡散もしない、友達や社内の人に読んでもらうこともしなければ、誰がインターネットの海の中からあなたの記事を探して読むの? WHY? って感じです。
もちろん、SEOを意識した記事を書いて、検索結果上位に表示させることで、読まれる道もあります。
ただ、公開した記事を、すぐにたくさんの人に読んでもらう、知ってもらうためには、やはりSNSの力は不可欠だと、私も思います。
SNS(Twitter、Facebook、LINE@)での記事の拡散方法は、塩谷さんがこちらの記事で詳しく説明しているので、読んでみてください。
WEBメディアでの情報発信をする前に、気をつけるべき26のポイント
もし、自分の書いている記事のTwitterカード(アイキャッチ)がうまく表示されないなら、クライアントさんに教えてあげたほうが親切ですよ。
私は発見次第、すぐ連絡して、表示できるようにしてもらっています。
自分が書いた記事、できるだけ多くの人に届けたいですもんね。
SNS拡散について塩谷さんは、大事なのはフォロワー数だけではない、とも言っていました。
塩谷さんのフォロワーが増えたきっかけは、自分が行って感動したイベントのレポを書き、それが主催者はじめたくさんの人にシェアされたことだそうです。
Twitterでも、みんなが書いてるような日常のつぶやきは控え、有益な情報だけを提供していく。
つまり、最初は無料で役に立つ記事を公開し、多くの人に読まれることで、後から仕事につながったとのこと(スライドの最後に、小さく「そして稼げます」って書いてるのがうれしい)。
そしていよいよ、このWeb戦国時代の中で、今後どんなライターにニーズがあるか? という話に入っていきます。
今後ニーズがあるWebライターはズバリこの4つ!
✔コアな分野の解説ができる人
イメージは「マツコの知らない世界に出てくるような人」。
つまり、コアな分野にどっぷりつかってる人より、その分野全体を客観視できて、詳しくない人にも翻訳して伝えられる人、ということ。
Webライターがよく「私には専門がない」と悩んでいるのを聞きますが、自分の知識・経験をわかりやすく解説できる人のほうが、「めちゃめちゃ詳しいけど説明下手な人」より有利なのかな、と思いました。
✔自分だけの情報源がある人(Twitterのトレンドだけを追いかけていても、フォロワーは増えない)
これは私も含め、ふだんTwitterから情報を得ている人が、ハマりがちなことだと思います。
Twitterで話題になったことをブログに書いたり、メディアで取り上げても、一時的なアクセスは見込めるけれど、ほかとは差別化できません。
みんな一気に同じテーマで書くので、「誰がその記事を書いたか」は重要じゃなくなってしまいます。
誰も書いてない情報を発信するからこそ、「この人に書いてもらいたい」という、価値が生まれるんですね。
✔情報の「流通」が出来る人
情報の流通って、何? と私も思いました。
Web記事は、ただ書いただけでは、本や雑誌のように人目にはつきません。
出版社だったら、書店に流通・販売してくれる営業さんがいますが、Webメディアは書店には置けませんよね。
しかし、先ほど書いたように、記事が誰にも読まれなければ、無人島でお祭りをやっているだけにすぎません。
そこで、記事を無人島の向こうに届けられる、拡散力のあるライターの需要が高くなるんだそうです。
塩谷さんは、「記事を書いて提出するまでが納品じゃなくて、数字を見るまでが納品」と言います。
もっと言うと、記事を拡散し、コンバージョンする(読者に何らかの行動を起こさせる)までが納品だと。
記事を書いたあとには、反響レポート(PV数や、SNSでのポジティブな反応を集めたレポート)を送って、企業の上層部にもWebの影響力をわかりやすくしているそうです。
塩谷さんの考える、PV数の目安は、こんな感じです。
目安として、3000PVが「同業者の人にちゃんと届いた」、1万PV以上が「関係ない多くの人に届いた」ということ。
ただし、PV数が多くても、滞在時間が1分半以下だと、タイトルに釣られてクリックしたけど、欲しい情報がなかったから離脱している可能性があるそうです。
自分が書いた記事のPV数や、滞在時間、検索ワードなど、知りたければぜひクライアントさんに聞いてみてください。
また、ブログを書いている人は、どんな記事がよく読まれ、滞在時間も長いかをチェックすることで、求められているものが見えてきます。
✔しっとり系ライター
ここが私の一番、知りたかったところ。
塩谷さんは、おもしろ系ライターはたくさんいるけれど、しっとり系ライターが見つからない、とよく企業から聞くそうです。
しっとり系ライターとは、おもしろい要素がなくてもしっかり読ませる記事が書けたり、ときにポエチックな(エモいとも言える)文章が書けるライター。
例えば、おしゃれな化粧品のCMがお笑い系だと、ちょっと違和感ありませんか?
やっぱりブランドイメージがありますし、企業としても、しっとりと落ち着いたCMを作りたいところ。
塩谷さんが運営しているメディア、milieu(ミリュー)の記事がまさにそのしっとり系なので、「しっとり系の記事ってどんなの?」と思う方は、ぜひ読んでみてください。
ではここからは、私が個人的に「取り入れたい!」と思った、Webライティングの実践テクニックを紹介します。
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今すぐマネしたい、ライティングのテクニック
1.自分のことかな?と思わせるタイトルのつけ方
塩谷さんが教えてくれた、クリックされるタイトルのつけ方です。
・私のための記事かも!と思ってもらえるタイトルをつける
・固有名詞を出すと読者が限定されるので、なるべくつけない(SEOを意識している場合は別)
例えば、この記事タイトル。
美大を卒業して、制作会社で働くか、メーカーのインハウスデザイナーになるか、それともフリーランスになるか?
美大を出た人が見ると、「この悩み、私のことかも!」と思って読みたくなるタイトルです。
内容は、お菓子会社BAKEで働くアートディレクターの方のインタビュー。
この記事で、「BAKEで働きたい!」と興味を持つ人が、何人もいたそうです。
ほかに、こんなタイトルも。
「好きなもの」があるゆえに、付き合う人を選びすぎて生きてない? アスリート展 体験レポート
こちらはアスリート展のレポートですが、あえて「アスリート展」を前面に出さないことで、読者を限定せず広い層に呼びかけたタイトルになっています。
タイトルのつけ方に関しては、塩谷さんがBAKEで書いている記事があるので、参考にしてみてください。
オウンドメディアで引きの強い「タイトル」のつけ方ってなんだ?編集長・塩谷レポ
塩谷さんの記事でもう1つ、注目なのが、前段(リード文)の書き方です。
かなり参考になったので、詳しく書きますね。
2.読者をぐっと近づけるリード文の書き方
さきほどのアスリート展の記事、どんな書き出しで始まると思いますか?
「好きなもの」があるゆえに、付き合う人を選びすぎて生きてない? アスリート展 体験レポート
私だったら、「アスリート展に行ってきました!めちゃめちゃ楽しかったのでレポートします!」みたいなのを想像します。
でも、それだと「スポーツに興味がない人は読まない」と、塩谷さん。
そこで、記事はこのように始まります。
好きなものがあるっていうことは、いいこと。
でも「好きなもの」と「それ以外」の間にある輪郭線は、ハタチくらいからどんどん太くなって、ときに私たちが付き合うべき人をパキッと分類してしまう。
ここから、「運動が苦手な私でも、アスリート展に行ったら楽しかった」という内容につながっていきます(詳しくは記事を読んでみてください)。
このように、読者にまず「自分のことだ」と思ってもらう書き出しが、塩谷さんの記事には多く使われています。
例えば、この記事でも。
寒くなってきたら、あたたかい場所へ。まるで楽園のような、沖縄・7つの島をめぐる7日の旅。
よくある旅行レポートは、テンション高めの記事が多いけれど、ネットでがっつり旅行レポを読む人って、逆にテンション低いんじゃないか。
むしろ休日に、布団から起き上がれなくて、スマホで読んでるんじゃないか。
そこで、塩谷さんの沖縄レポートはこんなテンションで始まります。
旅行上手な人は、計画上手だ。
「旅に行くまでの準備が好き!」という人も多いが、計画下手な私の目には、ガイドブックやInstagramを駆使してきちんと旅の予定を立てられる人が、まぶしく映って仕方がない。
土曜日の昼過ぎに目が覚めて「あぁ、この週末、何しよう……」と布団にくるまってスマホをボーっと見ている自分がいる一方で、昨日まで一緒に働いていたのに、今は真っ青な沖縄のビーチでのんびりしている友人をInstagramで発見する。
ああ……分かりすぎる。
そう思ったら、あとの内容もどんどん読みたくなりますよね。
塩谷さんは、Webメディア界の流行りよりも、まず読者のことを第一に考えて記事を書いているんだな、と思いました。
では最後に、取材記事を書くときに気になる写真について、紹介します。
3.記事の写真は、必ずしもクオリティが高くなくていい
塩谷さんから「写真のクオリティは、必ずしも高くなくていい」と聞いて、ちょっと意外でした。
なぜなら、塩谷さんが運営するメディアmilieuは、写真のクオリティがめちゃくちゃ高いから。
例えばこちら、元AKBグループのゆうこすの記事。
milieuより引用(掲載許可いただきました)
まるでファッション紙のよう。
SNSでポジティブに発信し続けるゆうこすの魅力を、外見だけでなく内面からもとらえた写真です。
このように、milieuでは記事のためにスタジオを借り、撮影に10万円以上のコストをかけることも多いそうです。
しかし、クオリティの高い写真は必ずしも必要ではない、と塩谷さんは言います。
記事によっては、取材に同行するフォトグラファーさんに「娘の遠足についてきちゃったお父さんのように撮ってください」と言うこともあるそうです。
そうやって、バシャバシャ撮りまくった中から使える写真を選んで、記事に組み込んでいくとのこと。
取材で写真を撮ったことがある人なら、わかると思います。
「あ~、このカットが欲しいのに、ない! なんで撮ってないの……」
という、悲しい思い。
Web記事では、必ずしもガチな機材で撮った高クオリティな写真が、内容にハマるとは限りません。
例えば、地元の商店街レポートで、お店のおじさんを一眼レフで俳優のように撮っても、記事の雰囲気と合わなかったりします。
それよりも、スマホで一緒にピースしてる写真を撮ったほうが、親近感がわくかもしれないですよね。
今、取材記事のために一眼レフを買おうか悩んでいる人は、もう一度、「どういう写真が自分の記事にハマるのか?」を考えてみるといいかもしれません。
写真に関してもう1つ。
一番クリックされやすいアイキャッチは、「知り合いの顔」だそうです。
インタビューしたなら、その人の顔写真をアイキャッチにして本人にシェアしてもらったり、FacebookとTwitterで別のアイキャッチが表示されるように工夫したり。
Facebookにリアルな友達が多い場合、共通の知り合いの顔がアイキャッチにあれば、クリックされやすくなります。
人物が登場する記事には、積極的に使っていきたいテクニックですね。
いいことを書けばいいことが跳ね返ってくる
塩谷さんの言葉の中で、強く残ったのは「いいことを書けばいいことが跳ね返ってくる」。
それはきっと、読者にとっていいこと、取材した相手にとってもいいこと、さらにはインターネットにとってもいいこと、なのだと思いました。
Webメディアのクオリティを底上げするために、無料で情報を出したり、今回のセミナーでも積み上げた経験をたっぷり共有してくれた塩谷さん。
お会いするのは初めてでしたが、すごくいい刺激と激励をもらった、そんなセミナーでした。
オマケ 懇親会で100人としゃべる塩谷さん
今回、このセミナーの参加者は100名以上!!
セミナー後の懇親会では、全員が塩谷さんとしゃべれるように、各テーブルをまわってくださいました。
時差が14時間(!)あるNYから帰国されたばかりで、時差ボケもあって大変だったと思います。
本当におつかれさまでした。
また、全員がもれなく塩谷さんと話せるように終始気をつかっておられたデジタルハリウッド大阪校のスタッフのみなさんも、ありがとうございました。
(司会の女性がとても丁寧で、「塩谷様、いったんご退場でございます」と聞いたときは、お色直しが始まるのかと思いました)
今回のセミナーを踏まえて、塩谷さんの記事やツイートを読むと、また違った見方ができそうです。
今後も、どんな記事を書いていかれるのか、注目しています!
塩谷舞さんのメディア milieu
Twitter:@ciotan Instagram:ciotan |
ここで書ききれなかったセミナー内容は、ユキガオさんのブログにまとめられています。
取材記事を書くときのポイントやフォロワーの増やし方など、わかりやすくてサクっと読めますので、合わせてぜひ!
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