Webライターの私がクラウドソーシングを卒業した方法

未経験からWebライターを始めて、もうすぐ1年半になる。

私は、もともとメキシコで日本語教師をしていて、帰国後、契約社員として働いたものの、体調を崩し退社。

 

家でできる仕事はないかと、登録したのがランサーズとクラウドワークスだった。

ネットで検索すると、ライターが書いたブログには「数ヶ月で月収○○万!」の文字が踊り、さまざまな稼ぐノウハウが公開され、書かれているとおりにやればすぐ稼げるようになるのでは……という錯覚に陥った。

 

そう、私にとっては、それは錯覚だった。

 

今回は、未経験からクラウドソーシングでWebライターを始め、途中でライターではなく「クラウドソーシングが私に向いてない」と気づき、卒業して記事単価が20倍になるまでの話を書こうと思う。

 

これはあくまで私の例なので、この通りにやれば同じ結果が出るとは言えない。

しかし、私はクラウドソーシングで低単価ライターだった時代、「クラウドソーシング以外の仕事の取り方がわからない」「クラウドソーシング外のライターとの間には越えられない壁があり、あっち側に行くのはムリ」と思い込んでいた。

 

今言えるのは、未経験でも、目立つ実績がなくても、チャレンジは不可能でないということ。

この記事が、思うように稼げず、時間だけを浪費していると感じている人の、ヒントになれば幸いです。

 

1円ライターどころか、銭ライターだった

 

クラウドソーシングでWebライティングを始めた当初、「まずは1円ライターを目指そう」と思っていた。

1円ライターとは、1文字=1円で書く仕事のこと。クラウドソーシングの低単価案件は、記事単価より、文字単価で提示されることが多かった。

 

1文字=1円なら、1,000文字の記事を書けば1,000円もらえるという計算に。しかし、私が初めて受けた継続案件の仕事は、3,000文字で800円。

 

文字単価にすると、約0.25円だ。

「これ、円じゃなくて、銭や。1文字25銭で書いてるんや。今時、銭を使うなんて為替ぐらいやで。アタシ、1円ライターやなくて、銭ライターなんや……」

未経験のライターはまず低単価案件で実績を積もう、とどのブログにも書かれていたが、一体いつまでこの単価が続くのかと、ぼんやりしてしまった。

 

初めての単価交渉は成功のようで失敗

 

継続案件をしばらく続け、先方に重宝してもらえるようになったら、単価交渉してみよう。

そう考え、最初の1か月は、記事作成に全力を注いだ。安いといってもそこは仕事。自分に実力がないのはわかっていたので、レギュレーションを遵守し、もちろん締切を守り、そのときのベストを尽くした。

 

無事、翌月も継続してもらえることになり、恐る恐る単価アップのお願いをしてみた。

返信が帰ってくるまではドキドキだった。

(もしこれで切られたら、仕方ない、またイチからほかの案件を探そう)

そう思いながら。

 

返事は、単価アップOK。

しかし、その内容は、1記事800円から850円になるというもの。

 

初めての単価交渉が成功したはずなのに、心は晴れなかった。

そのときに、遅ればせながら気づいてしまったから。

このクライアントは、予算がないということに。

今後、どんなに「単価を上げて」と言っても、ないものは出せないだろう。

 

「クライアントと長く信頼関係を築いて、単価アップしてもらう」ためには、最初から予算がある企業・案件を見つけなければいけなかったのだ。

 

でも、それって一体、どうやって??

 

案件探しの「フロム・エー見てる感」がツライ

 

結局その継続案件は、モチベーションが続かず辞退した。

いくつか他の案件をこなしながらも、時間があれば「もっといい単価の案件はないか」、サイトを眺める日々が続く。

 

私は退職してライターになったので、生活のため一定額は稼がなければいけない。

低単価案件ばかりを週7日、ときには一日14時間以上書き、それが終わってフラフラの頭で、少しでも良い仕事を……と、膨大な案件探しの旅に出る。

 

フリーター時代、バイトを辞めたくてまるで趣味のようにフロム・エーを見ていたことを思い出した。

 

「どこも時給は同じだなあ……」「ここ、未経験OKって書いてるけど本当に大丈夫かなあ」「時給高いと思ったら、交通費出ないのか。危ない、危ない」「新しい人間関係めんどくさいし、しばらくは今のままでいいかな……」

 

進むにしても、とどまるにしても、ネガティブな気分が拭えない。

書くことが好きで、書きたいテーマもあった。でも、私にお金を払って書かせてくれる媒体は、なかった。

Twitterでは「最高月収○○超えました!」の声や、インフルエンサーと呼ばれる人たちの記事がバズっていた。

 

交流会にも積極的に参加し、短期間で上手に営業したり、稼げる案件でぐんぐん収入を伸ばしている人の話も聞いた。

しかし、どこか別世界の話だった。自分にうまくできるとは思えなかった。

 

じゃあ、私は一体いつまで、この生活を続けるのだろう?

 

直接契約をしても単価がガツンと上がるわけではない

 

クラウドソーシングを介して仕事をすると、クライアントが支払う原稿料から、手数料20%がクラウドソーシング側に入る仕組みとなっている。

まったく未経験のライターが、賃金未払などの悪いクライアントに捕まったら、クラウドソーシングが間に入ってくれるのだ。そのための安心料である。

 

そして、クラウドソーシングサイトで出会ったクライアントと、サイトを通さず直接契約を結ぶことは禁止されている。にも関わらず、20%の手数料を回避するため、クライアントと信頼関係ができたら直接契約に移行してしまうライターもいる。

 

だが、もしクライアントに予算があり、かつライターとして重宝されているのであれば、「手数料分は上乗せして払います」と言えるのではないか。

 

もしその予算がないのであれば、直接契約に移行したとして、今後単価がガツンと上がるとは、私は思えない。(上がる場合もあるんだろうけど)

何より、規約で禁止されているし、バレたらアカウント削除になってしまうのに、リスクを冒したくはない。

 

そのとき気づいた。

 

手数料でモヤモヤするなら、クラウドソーシングを使わなければいいのでは?

 

私は、もしかしてクラウドソーシングに不向きなタイプかもしれない。

高単価案件を探すのが下手だし、かといって予算があるジャンル(金融とか、脱毛とか)をイチから勉強して書いてやる! という気概もない。

 

ライターを始めた当初から一貫して書きたいジャンルは「旅行」や「海外情報」だったが、見つけられた案件は「外国人の彼氏を作る方法」とか、そんなのばかりだった。

 

「卒業しよう。ライターとして、クラウドソーシングに頼らない仕事探しをしよう」

そうはっきりと決意した。

 

チャレンジするか、甘んじるかの選択

 

私が、低単価案件を早く卒業したかった理由は、もう1つあった。

それは、予算がないメディアには編集がいない、ということ。

時間とお金をかけずに、とにかくたくさんの記事を集めたいクライアントが多く、出した記事にフィードバックが返ってこない。

PV数はおろか、掲載サイトすら教えてくれない案件もあった。

 

これでは、いつまでたっても成長できない。

私はもう30歳を過ぎているが、それでも、新しく物事を始めたときが一番、伸びしろがあると思っている。人の意見を素直に聞けるし、何よりモチベーションが高い。

 

「ライターとして成長したい」

 

この気持ちが消えないうちに、ちゃんと私の記事を見て意見を言ってくれる人と仕事がしたかった。そこで私が考えた方法は、2つ。

 

・大きめのメディアに実績を送って、ライターとして採用してもらう

・Web制作会社や編プロのライターになる

 

それぞれの方法を詳しく説明します。

 

1.書きたいメディアの「お問い合わせ」から送る

 

書きたいメディアや、興味のあるサイトを見つけたら、ライター募集と書いてなくても、お問い合わせフォームからメッセージを送ればいい。

 

私が送る内容は、大体こんな感じ。

  • 簡単な自己紹介
  • なぜそのサイトで書きたいか
  • そのサイトに関連する実績
  • もし書けることになったら、こんな記事が書けますという企画案をいくつか
  • 連絡先

 

それまで、「充分な実績もないのに、有名なあの人も書いてるサイトに応募するなんて……」と気が引けていたが、やるしかない。

実績がないなら、作ってしまえばいいのだ。

 

私の場合は、ブログに書いた。

初めて旅メディアに応募したとき、私には旅行記事の実績がひとつもなかった。

だから、このブログ記事を「実績」として送ったのだ。

和歌山・那智勝浦で平安衣装体験!

今からちょうど1年前。完全にただのブログ記事で、写真もスマホで撮ったものだ。

しかし、これを書いたおかげで、初めての旅メディアの仕事がゲットできた。

 

また、前々から「インタビューの仕事がしたいなあ」と思っていた私は、ブログでまずインタビュー記事を書き、それを実績として、その後さまざまなインタビューの仕事をさせてもらえるようになった。

 

ブログがない人は、Wordに書いたものを送ってもいい。

要は、「ちゃんとご要望に沿ったものが書けまっせ」とアピールできたら、なんでもいいのである。

2.興味あるWeb制作会社や編プロに応募してみる

 

Twitterを見ていて、大きな仕事をしているフリーのライターは、どうやら元Web制作会社にいたり編集プロダクション経験者だったりするらしい、とその人たちのインタビューを読んで思った。

 

実際には、紙媒体出身だったり、それこそクラウドソーシングを使って、表には出ない大きな仕事をしているライターもいる。

でも私は、「編プロのライターになって、鍛えられる」という状況に憧れた。

赤入れというものを、されてみたかった。それはもう切実に。

 

そこで、まったく無謀ながら、Webコンテンツについて本も出版している、有名なWeb制作会社のライター募集に応募した。

そういう募集は、Wantedlyというサイトでよく見かける。

私の場合、もともとその会社の本を読んだりセミナーに行ったりして、方向性にとても共感していたので、チャレンジ応募してみたのだ。

 

まだライター駆け出し3か月め、数字で表せる実績(検索何位とか、何万PVとか)がまったくなかった私は、ただ熱意だけを伝えた。

ありがたいことに外注ライターとして採用してもらえ、憧れの「編集からめっちゃ赤が入る」経験をし、自分の成長が目に見えて感じられた。

 

応募時の私は、受かるとは思っていなかった。ただ、「通勤しなきゃいけないかな」とか「単価いくらかな」とか、そういう話はあとで聞けばいい、とにかく直接話が聞きたい! という気持ちだけ。

最悪、受かっても条件がキツければ(ほかの仕事ができないくらい拘束時間があるとか)、断ろうとも思っていた。

 

あの時、悩むより先に行動して、本当によかったと思っている。

 

クラウドソーシングを介さない仕事の注意点

 

クラウドソーシングを介さない仕事だと、やはりクライアントが信用できるかどうか、というのが大きな問題になってくる。トラブルがあっても、全部自分で対処しなければならないからだ。

私は、幸いにもそういったトラブルに遭ったことはないが、最低限、以下は気をつけている。

 

1.単価は早めに確認する

クライアントによっては、一番初めに「単価はいくらでお願いできますか」と言ってくれる場合もあるのだが、教えてくれないこともある。

 

話が進んでから、実は超低単価でした、となっては困るので、私は最初のほうに確認するようにしている。

大きなメディアであっても、有名ライターとそうでないライターで単価が違ったりする場合があるためだ。

 

最初のほうにお金の話をするのは、判断基準にもなる。

もしも、単価の話を言い渋るようなら、今後も健全なお付き合いが難しいかもしれない。

単価に限らず、やりとりしていて「あれ、このクライアント、ちょっと……」と感じたら、仕事を受けたあとでも辞退しよう。

そういうときこそ、クラウドソーシングでたくさんのクライアントとやりとりしてきた、勘を働かせるべきである。

 

あなたがまともな仕事をしている限り、一部のクライアントに嫌われたからといって、仕事がなくなるわけではない。インターネットの海は無限にある。

 

2.契約書はすみずみまで読む

 

ライターとして契約するときに、契約書にサインを求められる場合がある。

なかには「甲が乙を凸して~」みたいな難解な表現が並んでいるが、ちゃんと意味を理解するまで読むようにしよう。

私はとくに、著作権の部分(記事に使った写真や書いた文章はどこに帰属するか)や、記事でトラブルが起こった場合の責任の所在などを、気をつけて読んでいる。

 

例えば、「記事の内容でトラブルが起こったら、ライターの責任になる」と書かれていた場合。そもそも、そのサイト自体にトラブル要素がないか、よく見てみよう。

写真や文章のコピペ、薬機法、炎上商法。ネットの世界は、なんでもすぐに広まる。あなたの名前が書かれた記事とともに。

 

改めて考えた結果、「やはり怖い」と感じたら、その直感を信じて、契約書にサインせず辞退しても良い。何か起こったとき、クライアントが守るのは自社企業。

フリーランスは、自分の身は自分で守るしかない。

 

「大きいメディアだから大丈夫」「有名な会社が運営しているから安心」というのは、もうDeNA問題を経て、言えなくなっている。

違和感や不安はひとりで抱え込まず、ライター仲間や、フリーランス仲間に相談して欲しい。もし周りに相談できる人がいなかったら、Twitterで私に話しかけてください。

 

自分の価値を上げていく

 

クラウドソーシングで低単価案件ばかりをこなしていた頃より、きちんと納得いく修正がもらえ、鍛えられたあとのほうが、自信が付いた。そして、「私の仕事には、これだけ払ってもらえるんだ」という自信も。

 

良い仕事をすれば、それが新たな実績となり、次の応募が受かりやすくなる。

そのうち、応募しなくても、声をかけてもらえたり、仕事を紹介してもらえたりするようになる。

 

私の場合は、交流会に出かけて大量に名刺交換するのは疲れるので、少しの信頼できるライター仲間と交流を深め、そこで「こんな仕事がしたい」とずっと言い続けている。

また、Twitterやブログで好きな海外情報を発信し続けている。

アクセスが少なく、誰も見ていないかも……と思うこともあったが、最近、海外案件のお仕事をぽつぽつ紹介してもらえるようになった。

見ている人は、見ているのだ。

 

今、私の仕事の記事単価は、最初の頃の20倍になった。

まわりくどい言い方をやめると、1記事800円からスタートした私の、今の平均単価は1万5千円~2万円だ。平均なので、それより高い単価の仕事もある。

 

誤解の無いように言うが、クラウドソーシングの仕事だけでどんどん実績を作り、私より高い記事単価で稼いでいる人も知っている。

ただ、私の場合は、いったん外に出たほうが早くスムーズに進んだ、という話だ。

 

ちなみに、クラウドソーシングに二度と戻らないかというと、そんなこともない。

収入源は多いほうがいい。今の仕事がなくなったら、いつでも案件探しに戻ろうと思っている。

 

今の私には、あの頃にはなかった実績があり、自分で自分に値段をつけることができる。そしてその価値は、今後も高めて行こうと思っている。

 

東京に行かなくても、未経験からのライターでも、主婦ライターでも、自分に合った方法さえ見つかれば、ちゃんとやっていけるんだと言いたいから。

 

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